デザインの「レビュー会対策会議」が開かれた
先日、デザイン担当から新しい成果物が上がってきました。
確認のために上司がミーティングを開いたのですが、なぜか、デザイン担当抜きでした。
上司:「これさ、どう思う?」
なんというか、正直に言ってしまうと「良いとは言いにくい出来」で、私も言葉に詰まってしまいました。
上司:「だよねぇ……このまま通すわけにもいかないし、かといって指摘は難しいし。あ〜困った〜」
そんな流れで、なぜか「レビュー会対策会議」という謎のミーティングが発足し、
“本番のレビュー会でどう伝えるか”を話し合う場になってしまいました。
これって、広報ではよくあること・・ですよね?
特にチームの中にデザインに詳しくない人がいると、
「なんか違う気はするけど、どう指摘したらいいかわからない」状態になりがちです。
結局、「よくないのはわかるけど、何がどう悪いのか説明できない」まま、
誰もハッキリ言えずに冷え切った空気が漂う・・・
そんな場面、ありませんか?
デザインのフィードバックって、難しいですよね。
「なんか違う気がする」けど、うまく言葉にできない。
かといって黙って通すと、公開後に「やっぱり違った…」「金ドブやん」となってしまう。
今回は、そんな社内でデザインをチェックする立場の人に向けて、
伝わりやすく、関係を悪くしない「指摘の仕方」をまとめました。
なぜデザイン指摘は難しいのか?
デザインへの指摘って、本当に気を遣いますよね。
「ここ直して」と言うのは簡単でも、
その一言が相手のモチベーションを下げてしまうこともあります。
というか、その「ここ直して」すら言語化できず言えない場合もある。
そもそもデザイン指摘が難しいのには、こんな理由があります。
1. 正解がひとつではないから
デザインは“数式のように答えが決まっているもの”ではありません。
同じ課題に対しても、何通りもの表現方法があるのがデザインです。
だからこそ、「良い」「悪い」の基準が人によってバラバラになりやすい。
「私は好きだけど、上司は気に入らない」
そんなズレが生まれるのも自然なことです。
2. 感覚的なものを言語化しにくいから
デザインを見たときに浮かぶのは「なんか違う」「重たい感じがする」など、
感覚的な言葉が多くなりがちです。
でも、感覚だけで話すと制作側には伝わりません。
「どの要素が」「どう見えて」「なぜ違うと感じたのか」まで言葉にするのは、
訓練していないと難しいんですよね。
3. “作品”への指摘になるから
デザイナーにとって、成果物は自分の分身のようなもの。
一生懸命考えて作ったものだからこそ、
否定されると「自分が否定された」と感じてしまうこともあるかもしれません。
特に社内の人間関係が近いほど、気まずさが残りやすいです。
4. 発注側と制作側で目的の解像度が違うから
「資料請求を増やしたい」「信頼感を出したい」など、
同じゴールを共有しているつもりでも、
目的の粒度がズレていることがよくあります。
発注側は“ビジネス目線”で考え、
制作側は“表現目線”で考える。
その視点の差が、仕上がりの違和感につながるのです。
5. フィードバックの文化が根づいていないから
「上司がデザインを見て一言ダメ出し」みたいな文化が残っている会社もあります。
でも、デザインって一人の感想で決まるものではないんですよね。
複数人で意見を出し合い、目的に照らして判断することで、初めて質が上がります。
こうして見てみると、
デザイン指摘の難しさは「スキル不足」ではなく、構造的な問題でもあります。
だからこそ、個人のセンス頼りにせず、
「伝え方の仕組み」を整えることが大切ですよね。
NGなフィードバック例
デザインを見たとき、つい口をついて出る言葉ってありますよね。
でも、その何気ない一言がデザイナーを混乱させる原因になっていることもあります。
たとえばこんな言葉、言ってしまっていませんか?
「なんか違う」
広報の会話でよく出るフレーズ第1位。
でもこれ、何が違うのかが伝わらないんです。
デザイナーからすると「どの部分?色?構成?文字?」と頭の中がクエスチョンマークだらけ。
感覚で終わらせず、「どこが・どう違うか」を具体的に伝えましょう。
💡言い換え例:「このページのトーンが少し堅く感じるので、もう少し柔らかく見せたいです」
「もっとおしゃれにして」
便利だけど、実はとてもあいまいな言葉。
“おしゃれ”の基準は人によって違います。
私が「これはおしゃれ」と思っても、上司が「おしゃれじゃない!!」と却下してしまうの、あるあるですよね。
上司が想像する「おしゃれ」と、デザイナーが思う「おしゃれ」が一致することは、ほぼありません。
💡言い換え例:「20代女性が“かわいい”と思う雰囲気に寄せたいです」
💡補足:ターゲットや印象ワードを添えると伝わりやすいです。
「○○のサイトみたいにして」
参考があるのは良いのですが、“どの部分が参考なのか”を伝えないと誤解されます。
色?レイアウト?雰囲気?写真の使い方?
丸投げ感が出てしまうと、
「自分の案は気に入られなかったのかな」と感じさせてしまうことも。
💡言い換え例:「このサイトの余白の取り方が見やすくて好きです」など、部分的に伝えるのが◎。
「全然よくない」
これはもう、破壊力抜群。
どんなに正しい指摘でも、言い方が感情的だと相手は受け取れません。
💡言い換え例:「この部分は少し印象が弱いので、もう少しインパクトを出したいです」
「思ってたのと違う」
これもありがちなフレーズ。
ただ、何を「思ってた」のかが共有されていないことが多いです。
💡言い換え例:「最初の打ち合わせでは“落ち着いた印象”を想定していましたが、少しポップに感じました」
こうしたNGフィードバックの多くは、
「感覚で話している」「目的を言語化していない」のが原因です。
ちょっとした言い換えで、相手への伝わり方はガラッと変わります。
次の章では、伝わるフィードバックの基本を紹介します。
良いフィードバックは「目的」と「事実」で伝える
デザインへの指摘は、“感覚”ではなく“目的”で伝えるのがコツです。
たとえばこう言い換えられます。
| NG | OK |
|---|---|
| もっと目立たせて | 資料請求ボタンが埋もれているので、もう少し視認性を上げたい |
| 色が微妙 | ターゲット層が20代女性なので、もう少し明るいトーンが合いそう |
| ごちゃごちゃしてる | 情報量が多い印象なので、見出しの余白を広げたい |
こうやって理由+目的を添えるだけで、
相手は「感情的なダメ出し」ではなく「建設的な提案」として受け取れます。
伝えるときのコツ
- まず「ありがとう」を言う
「作ってくれてありがとう」から始めるだけで、場の空気が変わります。 - 優先順位をつけて伝える
一度に全部伝えると相手は混乱します。
“修正の優先度”を整理しておくのが大事です。 - 目的に紐づけて話す
「上司がそう言ってたから」ではなく、「読者にこう見せたいから」と伝える。 - 口頭・画面共有で話す
チャットだけで済ませるとトーンが伝わらず、誤解されやすいです。
「ここ、実際に見ながら相談させてもらえますか?」と一言添えるだけで全然違います。
指摘する前にやっておきたい準備
- デザインの目的(ターゲット・KPI・印象)を再確認
- 比較対象(過去デザイン・他社例)を見せてイメージを共有
- 修正理由を整理(「何を変える」「なぜ変える」「どう良くなる」)
- スクショに簡単なコメントを入れるなど、視覚的に指摘する
これだけで「なんか違う」が「ここをこう変えたい」に変わります。
落ち込ませない言葉選び
デザイナーにとって、デザインは“作品”でもあります。
だからこそ、言葉ひとつでやる気が大きく変わります。
たとえば…
| 悪印象な言い方 | 印象が柔らかい言い方 |
|---|---|
| 全部直して | 方向性を少し変えたい |
| ダメだねこれ | ここ、もう少し整えるともっと良くなりそう |
| 修正して | ブラッシュアップしたい |
| 目立たない | もう少し存在感を出せそう |
伝え方を変えるだけで、「否定」から「協働」に変わります。
まとめ
デザイン指摘のゴールは、「正すこと」ではなく「目的に近づけること」です。
感覚や好みの違いにフォーカスするのではなく、
誰に、どう見せたいのかを共有できれば、自然と良い方向に進みます。
良いフィードバックは、作品だけでなく関係性も育てます。
デザインの話を“敵対”ではなく“対話”に変えていきましょう。
最後に
もし社内で「デザインレビューの空気が重い…」という声があるなら、
仕組みで軽くする方法もあります。
指摘のテンプレート化や、共有フォーマットの整備で、
“言いにくさ”はだいぶ減らせます。
デザインの質も、チームの関係性も、どちらも大事にしていきたいですね。

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